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2017.06.25. サロマ湖100kmウルトラマラソン 参戦記!

 今までに、サロマで雨に降られたことは何度かあったが、今回、ワタクシにとって9回目の“サロマ湖100kmウルトラマラソン”は、今までで一番の「雨降り」になった。

 パラパラと音を立てて降る雨に打たれながらスタート地点に整列していた。帽子のひさしからは雫が垂れ落ち、シューズは濡れソックスにも水が浸みていた。風は無く寒くは無かったが憂鬱だった‥

 スタートの合図に合わせて腕時計のボタンを押した。前の選手に接触しないように気をつけながら、ストップウォッチが動いていることを確認。100kmの長旅の始まりだと言うのに、スタート時のあの独特の興奮は無くネガティブな気持ちだった‥

 理由は雨のせいだけではなかった。今回の目標は9時間45分としたが、ワタクシの100kmのベストは9時間24分。それと比べると、ナンとも中途半端な目標タイムを定めた訳だが、正直に言うと、初めから9月の“佐渡国際トライアスロン”への布石とし走り込むことを目的としたレースだったので、充分に仕上げて出場していなかったのだ(ギンギンに仕上げると故障のリスクが高くなる)。そんなレベルで仕上げたコンディションで100%の力を出し切っても目指せるのは「ナンとも中途半端な目標タイム」であり、その目標に魅力を感じていなかった。魅力の無い目標に向かって100kmを走るのは精神的に楽ではない。もちろん体力的にキツい。そんな心身状態で臨んだレースで雨に降られたのであった。

  ;∫;∫;∫;εεεヘ( ;一_一)ノ;∫;∫;∫;

 とは言え、目標は達成したいし、レースを楽しみたいとも思っていた。また、最悪、ボロボロになってでも完走だけはしたいという気持ちもあったが、一方で苦しみたくないとも思いながら

 「シャカシャカ」

と鳴り続ける音に包まれて走り出した。

 「シャカシャカ、シャカシャカ‥」

 ほとんどの選手がビニールのポンチョかカッパを着て走っていたので、周囲は足音と雨具のビニールが擦れる音がそれぞれの選手のリズムで刻まれていた。

 その場その時のコンディションに合わせて、巧く賢くレース展開するのがワタクシの100kmの楽しみ方だが、そんな展開にするには、まずは最初の5kmのペースが重要になる。どうしても速くなり過ぎてしまうのだが‥

 

 5km:28'06" ※以下タイムは自分の時計

 

 5kmを28分30秒前後のペースを目安にしていたので、悪くない入りだった。

  体が動き出したのと、混雑が緩和されて走りやすくなってきたせいか、5km-10kmのラップは速くなってしまったが、すぐにペースダウンして10km-15kmは28分台で走れた。

 

 5-10km:26'53 / 10-15km:28'02"

 

 気温は14℃だったらしいが(スタート時が一番気温が高かったようだ)このくらいの気温だとトイレが近くなる!?30kmまでに3回もトイレに寄ったが、3回目のトイレでは随分と待たされてしまった。4つの仮設トイレが並んでいたのだが、3つがなかなか空かず(大?)3分以上のタイムロス!!‥これもレースだ。仕方なかった。

 30km手前から強い向かい風に吹かれ、ビニールのポンチョが上半身の前面に張り付きながら

 「ビリビリ!」

と音をたてていた。前の選手を「壁」に使わせて頂いたが、しばらくイイ感じのペースで引っ張ってもらえた。この辺りまで走ると、その日の体調が分かってくる。で、その時点で実感したのが、

 「調子が悪い」

 トイレのロスタイムもあったが、タイムの貯金が少なかったので目標をサブ10に切り替えることも頭をよぎった。

 

 15-20km:29'35"←トイレ / 20-25km:28'45" ←トイレ/ 25-30km:31'50"←トイレ

 

 でもまだ70kmほど残っていたので、

 「タイムの貯金は体力の借金」

 「タイムの借金は体力の貯金」

っと思い、終盤でペースダウンしないペースを模索していた。

 

 30-35km:28'46"←補給(スペシャル)で歩く / 35-40km:27'57" / 42.195km:4°01'

 

 当初、オーバーペースを心配していたが、全く逆の展開になっていた。フルマラソンの地点で4時間を過ぎたのは少々ショックであり焦りもあった。やってはイケナイと思いながらもペースを上げてしまったが、50km地点を過ぎたらコンディションに合ったペースに戻そうと決めてのことだった。45kmを過ぎるとコースはサロマ湖から離れるが、長く緩い下りになる。下りは要注意だ。ペースを上げてしまうと知らず知らずのうちにダメージを蓄積されてしまうので、慎重に接地での衝撃を確認しながら走っていた。

 

 40-45km:27'04" / 45-50km:28'21"←緩い下り // 50km:4°45'11"

 

 予定のペース(5kmを28分30秒)で走ると50km地点を4時間45分ジャストで通過するのだが、11秒の遅れとなった。前半よりも後半はどうしても失速するし、レストステーションやトイレのロスを考えると50km定点までに7~8分速く走りたかったのだが、思うようには展開しない。25kmを過ぎたトイレでのタイムロスも響いたが、調子の悪さを実感していた。

 

 ここで確実にサブ10で完走することを意識した。無理に9時間45分に拘っては終盤に大失速してしまうリスクが高まるし、9時間45分を「一か八か」で目指す必要も無かったので、目標を切り替えたのだ。そう考えれば後半は、5kmを30分ペース(6'00"/km)で走ってもレストステーションやトイレなどのロスタイムを入れても10時間を切れるので、無理せずに脚の調子に合わせたペースで走れば良いと気楽になった。

 50kmを過ぎると大きなアップダウンがやってくる。54.5km地点のレストステーションでは、預けた荷物からおしぼりを取り出し顔と頭を拭いた。着替えも用意したが必要は無かったので袋から取り出さない。レジ袋に入れたカロリーメイト(ブロック)とペットボトルの経口補水液を取り出したが、ここでは摂らない。補給テーブルで、お握り(握りずしサイズ)2個、エネルギーゼリー1本、飲み物を補給して、3~4分(?)でコースへ出た。補給を入れたレジ袋を手にして走り出したが、それほど重くはなかった。

 ここからのコースは65kmを過ぎるまで大きなアップダウンばかりだ。長い下り坂もあるので、そこで中休みすることに決めていた。“サロマ”では、ここ数回のことだがレストステーションには長く滞在せずに、55kmを過ぎてからの下り坂で用意した補給食を歩きながら摂る作戦を取っている。下りになるまでは補給食を手にして走らなくてはイケナいのだが、走りに影響は少ないと思っている。

 そして迎えた下り坂で予定通りに補給したが、歩きながらでも下りで大きくなる衝撃を少なくしようと、所々で安全を確認しながら後ろ向きで歩いてみた。終盤での落ち込みを少なくするための作戦である。後半に備えてしっかりと補給したお陰で、お腹が「チャポチャポ」するようになったが、ウルトラのペースでは影響は少なかった。しっかりと噛んで食べたから小一時間で治まるだろうと予想していたが、その通りになった。

 スペシャル・ドリンクを摂り、「魔女の森」と呼ばれている森林へ入った。魔女に扮した応援の方もいて、和まされた。

 今までに8回走っているのだが、「魔女の森」を痛みに耐えながら苦痛を伴って走っていたことも何度かあったし、木陰を選んでコース取りしていた暑い日もあった‥思い出も増えていた。今回は、雨は降っていたが、ワリトまともに走れていたので前半の展開が間違っていなかったと感じていた‥

 

 50-55km:33'42"←レストステーション / 55-60km:33'18"←下りで補給 / 60-65km:32'14"←下りで補給+トイレ+補給(スペシャル)

 

 終盤は大きなアップダウンは無いが、微妙に起伏が続くコースだ。中休みしたので、ここからは最後まで続けられそうなペースで走り切るように考えた。脚と体の疲労を確認していた。

 68km辺りに名物の佐藤商店さんの私設エイドがある。おしぼりのタオルを手渡して頂いて、顔と頭を拭いてリフレッシュ!食べ物や飲み物も揃えてくださっていた。感謝しかない。

 「有り難うございます!」

タオルをお返しして通り過ぎた。

 お馴染みの大漁旗での応援を受けたり、やけに陽気な白人女性の声援を受けて‥カボチャの欄干の橋を渡る。

 75km地点手前にも名物の大きな私設エイドがあり、お汁粉も提供してくださるのだが、ここは素通りして‥トイレへ向かい終盤に備えた。

 緩い登りは歩道がコースになっていたが、水たまりが沢山あったので、25cmぐらいの高さの植込みの縁石を何度か登ったり下りたりして避けながら走った。ここまで来て、この段差を昇り降りするのは結構ハードなことだった。潔く「ザバザバ」と水たまりの中を走った方がタイムを短縮出来たのカモしれないが‥

 そしてコースはワッカへと向かう80kmを通過した。

 

 65-70km:28'35" / 70-75km:30'39"←トイレ / 75-80km:29'29"←補給(スペシャル)

 

 80km地点で時刻は「12時53分」、サブ10まで2時間06分はある‥もう、10時間切りはクリアできると思っていた‥

 「80kmからフィニッシュの20kmで2時間を切りたい!できれば1時間58分を切れたら‥」

っと思っていたが、脚の調子を考えると難しそうだったが最後の5kmは30分を切ってやろうと狙っていた。

 

 クライマックスのワッカは雨雲の下ではあったが、オホーツク海とサロマ湖に挟まれた絶景に変わり無かった。

 ワッカの入り口の視界が開ける下り坂に来たところで、大きく深呼吸し周囲を見回し景観を満喫しながらリフレッシュ!

 微妙な起伏と水たまりが続く細いコースへと向かった。

 ここまで来ると、体力を消耗して動けなくなってしまう選手も出てくる。補給不足と雨対策が出来ていなかったための低体温症だろう。ウルトラマラソンはウェアー選びも重要である。今回のような雨降りで風に吹かれたら、終盤凍えるような寒さになるのは予想できるのだが、甘く見ていたり知識不足の選手も少なくなかったようだった。

 

 今年もまたワッカで、ゴールドナンバー「1」の「サロマの顔」、◯◯さんに追いついた。ここ数年、このパターンが続いていた。昨年はワッカで◯◯さんを追い抜いたのだが、折り返した後に再び抜き返されたので、今回はどうなるか?っと思いながら、彼に声をかけて追い抜いて行った。

 時計は意識しないようにしていた。脚の調子を確認しながら残りの距離を計算し、無理にペースアップしたり、楽をし過ぎないように気をつけていた。

 橋を渡って折り返すと強い追い風になった。ビニールのポンチョの背中に蒸れ防止のために大きな穴を開けておいたのだが、そこから風が入り、ポンチョが風船のように膨らんでいた。

 残りの距離をカウントダウンしていたが、一桁になるとワクワクと言うかヤレヤレと言うか、心境が変わってくる。

 時計を見て残りの距離とを計算すると9時間55分切りが見えていた。去年よりも速く走れそうだったが、当初の目標タイムには及ばないし、切りの良い9時間50分切は無理そうだった‥

 「まぁ、イイじゃないか!」

っと思いながら残された全精力を出し切るようにペースを上げて先へ進んだ。

 もう、補給は必要なかったので、エイドステーションはほとんど素通り、コップを差し出されたら受け取ったが、口をススグ程度にした。

 それにしても、水たまりにはウンザリした。避けるために軽くジャンプしたり、歩幅を広げたり、草地へ逃げて泥を踏んだり‥100kmの終盤でこうした動作はキツかった。

 

 ワッカを後にしてラスト2kmになると、それまで以上に無理してペースを上げた。最後は目標タイムなんてどうでも良かった。その時点での全力を出し切ろうと頑張っていた。

 フィニッシュが近づき広い直線道路になると、呼吸が激しくなり声になっていた。

 中には、最後にそれだけ走れるのなら、それまでにもっと速く走れただろうと思われる方もいるでしょうが、ワタクシの特性は、持久力よりもスピードで優れている点なので、逆に言えば、苦手な持久的な種目で良くぞこのタイムでここまで辿り着いたと褒めたくもなる。

 

 最後は直角に右へ曲がって、脱帽してから大きなフィニッシュゲートを駆け抜ける。そして回れ右。一礼して、感謝。

 いつもの儀式で締めくくった。

 

 80-85km:29'57" / 85-90km:30'39" / 90-95km:計測漏れ(90-100km:58'21")

 

Total:9時間52分13秒(グロスタイム)⇐リンク先:RUNNET

 

画像:RUNNETより
画像:RUNNETより

 

 今回は生憎の悪天候の中、しかも早朝から、大会関係者の方には本当にご苦労をして頂いたと感謝致しています。

 学生のボランティアの皆さんは本当に元気で、エネルギーを頂きました。吹奏楽の演奏も大変だったと思います。

 有り難うございました。

 また、低体温症などの体調不良に陥ってしまった選手の方。その後、大丈夫だったでしょうか?100kmは過酷なレースですネ。経験を活かして、またの挑戦で頑張ってください。

 

 ワタクシも思惑通り、ここ1ヶ月半程は持久的なトレーニングができたと思っています。9月の“佐渡国際トライアスロン”に活かせるように、これからも頑張ります!

 

 では、さらばじゃ!”∖(^_^*) 

~ 完 ~

 

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コメント: 2
  • #1

    サロマンゼロ (日曜日, 02 7月 2017 08:37)

    雨天のレース、お疲れさまでした。サブ10でも目標タイム以下なんて、凄過ぎます。自分は2回連続でDNFでした。(>_<;)
     中休みして終盤にペースアップするのは参考になりましたが、それだけの実力を備えていなければできない技だと思います。それだけの力をつけて、巧く賢くレース展開を楽しめるようにしたいと思います。
     来年はサロマンブルーですね!頑張ってください。

  • #2

    栗田浩三 (日曜日, 02 7月 2017 11:37)

    サロマンゼロさん、
     コメント有り難うございます。
     DNFは残念でしたネ。でも、貴重な経験になったハズなので、次回に活かしてください。
     今回、ワタクシは100kmをイーブンペースで走り通す力が無いと思ったので、中休みをしました。これも経験があったから思いついた戦略です。中休みをしないで、行ける所までイクのも悪くないと思いますが、最後にラストスパートできた方が「出し切った感」が味わえると思います。
     ワタクシもサロマで脚が止まって、制限時間ギリギリでフィニッシュしたことが2回ありますが、もう、あの苦痛は味わいたくないので、潰れる前にペースダウン出来るようになりました。
     経験は宝ですネ。