先ずはレースの全貌を Relive でご覧ください。
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【swim】4km
逃げ出したい程の恐怖感と紙一重の緊張感に襲われながら、スタートの砂浜に整列していた。トライアスロンはスイムバトルからレースが始まる。長ぁ~いサイクリングと長ぁ~いハイキングに行くつもりで気軽にレースしようと思っても、スタートのバトルは避けられない。スイムスタートはマラソンのスタート時の混雑とは訳が違う。体を押さえられたり、足を引かれたりするぐらいならまだましで、運が悪ければ鼻っ柱を蹴られて青あざが出来るコトもある。頭を押さえられて呼吸が出来ないコトもある。集団がバラけるまでの数分間の我慢なのだが、ここでペースを乱してしまったり、ボリュームゾーンに飲み込まれてしまうと、大きくタイムが遅れてしまう。
今回は、スタミナに自信が持てない状態でレースに臨んでいたので、スイム、バイク、更にランの前半迄は無理をせずにレースを進め、ランの終盤から余力を残さない様に全部出し切る展開を考えていたが、スイムだけはボリュームゾーンの前方で泳ぎたかったので、スタートは前の方に並んでいた。
スイムスタート!遠浅の浜をバシャバシャと走り、水深が膝上を超えるとイルカ飛びを繰り返してからクロールで泳ぎ始めた。心拍数を急激に上げない様に4ビートを使った。
自分でもビビっているのを自覚していたので、
「落ち着いて!落ち着いて!」
っと、マイペースで泳ぐ様に心掛け、200m位進んでから2ビートに切り替えペースを落とした。スタートは順調だった。呼吸の上がり方を確認しながらユックリと泳いでいた‥ワタクシが普通にユックリ泳げば4kmは1時間20分かからない位だ‥
ペースを落としたので、少しづつ追い抜かれる様になったが、酷いバトルは無かった。とは言っても混雑していたので、他の選手と接触したり進路を塞がれたりと泳ぎ難かったが、変に競り合わずに進路を譲り、ムキにならない様に闘争心をナダメて佐和田の海を楽しもうと心がけていた。
幸運にも出場出来た第30回大会は、感謝しながらレースし
「佐渡ヶ島を全身で満喫したい!」
と考えていたのだ。
1つ目の900m地点にある大きなブイを右に曲がると、次のブイまでは200m(1,100m地点)。それなりに混み合った中で、接触や進路を塞がれたりするコトをチョコチョコしながら2つ目のブイを曲がり、スタート地点の浜へ向かう。1周2kmの三角形を2周回するコースの1周回目は無難に泳ぎ終えた。
2周目はそれほど混み合わずに、ストレス無くマイペースで泳げた。無理に急がず、脚をなるべく使わない様に4ビートを主体に2ビートも織り交ぜて泳いでいた。
2つ目のブイを曲がり(3,100m地点)、最後の直線は浜に近づくにつれて引き潮に逆らって泳ぐ様になり、なかなか進まなくなったので最後は6ビートを使って泳いだ。
スイムはほぼ予定通り、無難に終えることが出来た。
スイムラップ 1:21:47 S順 221/986人
【bike】190km
いよいよ佐渡のバイクが始まった。大きなアップダウンを控えたハードでタフなコースである。
今回、一番気をつけたのがこのバイクだった。
「決して無理をしないコト!」
‥ワタクシのパフォーマンスレベルを冷静に考えると、このコースに果敢に臨んでは
「当たって砕ける」
のが分かり切っていたので、慎重過ぎるほど自重した‥
バイクで潰れてはトライアスロンのレースは失敗する。3種目の総合タイムで競うのがトライアスロンである。2種目目のバイクは繋ぎの種目、無理は禁物なのだ。
幸い気象コンディションは良かった。風は時折吹いていたが、それほど影響は無かった。
前半の大佐渡はコースからの景観が素晴らしい。海岸線を走りながら、左側に見える紺碧の海と空を眺めながらペダルをこいだ。岸壁は赤褐色の柱状節理。その岩肌には壮大な美しさが有り、神秘的な力を感じた。
岩谷口のウォーターステーションを通過すると、やがてバイクコースの名所、通称「Z坂」がやって来た。
急な登りを折り返しながらZ字を描きながら登って行く。
「めっちゃ奇麗!」
っと、女子の選手が声を上げていた。
「だね!」
っと、共感すると、
「佐渡、最高!」
っと、その選手は更に続けた。
しばらくその選手と言葉を交わしながら登って行くと、Z坂の終盤でいつものオバちゃんが声援を送ってくださっていた。
「オバちゃん、有り難う!また、後でネ!」
っと言いながらハイタッチして通り過ぎたが、田んぼの中で待っていてくださるこのオバちゃんには、毎回、毎回、頭が下がる‥
登りが有れば下りも有る。ジェットコースターの様に下り、しばらく行くと大野亀に到着した。ここの登りも景観は最高だ。佐渡の自然を全身で満喫するように、大きく息を吸い込んだ。
つづら折りのアップダウンを繰り返し、やがて平地が続くコースへと進んで来た。両津の商店街を通過し、今度は小佐渡へと向かった。長いバイクも後半へと進んだのだった。
小佐渡は小さな入り江の集落をいくつも通過するのだが、入り江と入り江の間にはアップダウンが有るモノだ。このアップダウンと平地の繰り返しは、正にインターバルトレーニングだ。ムキになると大きなダメージを受けるので、力を出し切らない様に自重して進んだ‥このインターバルの最後には、長ぁ~い登りが待っているのをシッカリと意識していた。
ココまで来ると、不思議なくらい前後に選手がいなる。毎回のコトだが、あのスイムバトルが嘘の様に周囲に選手がいなくなるのだった。
先にも書いた通り、バイクは無理をしないコトにしていたので、負担のかかるDHポジションも極力取らない様にしていたが、少しづつDHポジションを取る時間が増えていた。余力を残し過ぎてもイケないからだ。
小木からの長い登りを頭に入れつつも、楽をし過ぎない様にペースを考えていた。また、一方で、エイドステーションでの補給は、慌てずに確実に摂っていた。去年はランの途中でハンガーノックに陥ってしまったので、その教訓を活かしていたのだった。
一応、想定通り順調に小木までやって来た。問題はココからの長い坂をどう登り切るかだった。
登りが始まると、ボトルに入った飲み物を必要な量だけを残して捨てた。セコイ考えだが、少しでも軽くするためだった。
今までに12回、この登りで苦しんで来たのだが、ナンだか懐かしく思えた‥沿道の声援が激減したのは残念だったが、ココで沢山励まされた思い出を振り返っていた‥
戦略が功を奏し、いつもに比べれば悪戦苦闘せずに登っていた。これだけ楽に(?)赤カボチャを通過するのは?‥初めてだったカモ知れない‥
一山‥二山‥三山越え‥最後に長い下りを終えると、ラスト10kmの平地になる。このラスト10kmを30km/h以上で走るのが一つの目標であったが‥無理、ムリ、むり‥モロに向かい風が吹いていた。
それでも、バイクでの余力を残し過ぎない様にラストスパートして、結構前の選手を追い抜いてバイクを終えた。
バイクラップ 7:10:36 B順 345
※s-b.b-rトランジッション含をむ
(通過307位)
【run】42.2km
ランの前のトランジッションでは、時間をかけて用意してあった補給を口にし、ハンガーノックの予防に備えた。ポケットにもエネルギージェルと飴を詰め込み、500mlのスポーツドリンクのペットボトルを手にして走り出した。
序盤は意識的にユックリと入った。最初のエイドステーションでトイレに寄り、走れる態勢を徐々に整えて行った。
暑かった。得意なランだが、調子に乗ると一昨年の様に熱中症になってしまうので、リスクを回避しようと自重していた。
「佐渡ヶ島を全身で満喫したい!」
これが今回の第一目標で有るコトを再認識して、21.1kmを2周回するコースの1周目はダメージを感じずに走りたいと考えていた。
走り始めたのが午後2時半を回った頃だったので、総合タイムが平凡なモノに終わるのは確実だったが、想定通りの展開をしているコトは確かであった。
「最後に全精力を出し切れる様に‥」
ヘロヘロの状態でフィニッシュする様では、完全燃焼と言うよりは、打ちのめされた様な敗北感に終わってしまうだろうと思いながら、ラスト5km‥せめてラスト2km‥‥500mでも、
「ゼーッ!ハァー!」
っと、息を荒げるトコロまでスパートしたいと考えながら体調とペースを確認していた。
5km過ぎの金丸エイドステーションを通過して‥田んぼの中で待っている、あのオバちゃんの前までやって来た。
「オバちゃん、有り難う!また来るからネ!」
っと挨拶して通り過ぎた。
‥朝からZ坂でバイクに声援し、ランの田んぼの中へ移動して日が暮れても選手達へ声援を送り続けてくださるオバちゃん。
感謝しか無い。
オバちゃんの声援を受けた後、田んぼの中を宮川ウォーターステーションへ向かうと、背後から強い日差しを受けているのを感じた。走り出してすぐに、ハンドタオルが後頭部にかかる様にキャップに挟んでいたので大分助けられたが、普通に走れる気温では無かった(大会HPでは、「最高気温29.1度」と発表されていた:アスファルト上の日向の気温は‥)。
これが佐渡のトライアスロンだと、その過酷さを実感しながら、その大会に挑んでいるコトに誇りを感じながら感謝していた。
宮川から畑野までは長い登り坂になる。流石に脚には余力が無くなっていたので厳しい登りになっていた。
折り返し、宮川まで下り、田んぼへ進み‥オバちゃんに挨拶‥‥
2周目にどう走るかをイメージし、インスペクションを兼ねて1周目の終盤を終えた。
2周目に入り、体調を確認した。気温は相変わらず暑く感じられた。
「このコンディションで何処からペースアップすれば良いのだろうか?」
‥2周目は、最後をどう走るかを考えながら折り返しへと向かっていた。
6月の"サロマ湖100kmウルトラマラソン"のコトを思い出していた。あの時は、一旦潰れかけたがペースダウンしながらもダメージを回復させて、ラスト10kmで大きくペースを上げられたのだが‥今回はどうだろうか?‥大きく違うのは気温だった。この暑さでどれだけの負荷に耐えられるのかが問題であったが、これは自分で身体と相談するしか無いコトだった。
2周目の畑野へ向かう登りは、1周目よりもペースアップしていると感じていた。余力と残りの距離を天秤にかけてペースを上げていたのと、気温が少し下がったコトもあったのだろう。
折り返し、下りに入り‥宮川のウォーターステーションを過ぎると、ラスト10kmだった。坂を下って右折‥コースが田んぼへ進むと、ここから大きくペースを上げた‥正面に夕日が見えていた。広々とした田んぼから見る美しい夕日だった。これも佐渡の景観、シッカリと目に焼き付けようと見渡した‥そして、ここで例の如く「走れメロス」を思い出した。今回は残念ながら、夕日が稜線に沈み込むまでを走りながら見届けるコトになった‥
あのオバちゃんとも最後の挨拶になった。
「これで終わり!有り難う!またネ!元気でネ!」
オバちゃんも沢山、手をたたきながら、
「おっ~、頑張ったネ!また、来てネ‥」
っと、最後の声援を送ってくださった‥
前を見たまま右手を挙げて、
「有り難う~!」
っと叫ぶと‥ウルウルっ‥
ペースは段違いにアップしていた。呼吸に声が混じっていたが、苦痛ではないキツさであった。
金丸のエイドステーションで飲み物を摂り、後は全精力を出し尽くす様にペースを上げた。残りは5kmチョイ‥23~24分でレースが終わる‥25分をかけてはイケない!
ここでも"サロマ"のラストを思い出していた。もう、日が沈んだので厳しい暑さは感じなくなっていた。
「このまま続けろ!」
自分を励まし、ひたすらに走っていた。
最後の八幡ウォーターステーションはスルーした。この時点では「1秒」を惜しんで必死になっていた。他の選手達とは明らかにペースが違っていた。沿道の応援からも、ワタクシのスピードに驚いている声が聞こえていたが、コレが今回のシナリオなので、とにかく、とにかく、全部を出し切ろうと必死になって走っていた。
佐和田の商店街まで来ると、大会本部のアナウンスが響いていた。
「もう、終わっちゃう‥」
「コンマ1秒でも速く!」
相反する気持ちを胸に、アストロロードを通過しフィニッシュ会場へと入って行った。
ころばない様にコーナーを曲がると、フィニッシュゲートへ向かって全力疾走した。
脱帽して‥‥フィニッシュ‥‥
激しい呼吸に喘ぎ声が混じっていた‥呼吸を荒げながらも振り返って一礼。
記念すべき、第30回・佐渡国際トライアスロン大会のAタイプを完走した。
ランラップ 4:10:21 R順 104
トータル 12:42:44 (総合161位)
※Aタイプ
スタート:986 スイム棄権:7 バイク棄権:55 ラン棄権:129 失格:0 完走者:795 完走率:80.6%
【終わりに】
13回目の挑戦は、平凡なタイムであったが、計算通りにレース展開し、予定通りのタイムで完走出来た。
この素晴らしい大会が30回も開催され続けているのは、大会を支えてくださっている皆様のお陰です。また佐渡島民の皆様の、熱いおもてなしと応援のお陰です。
心より感謝し、御礼を申し上げます。有り難うございました。
出場された選手の皆さん、お疲れさまでした。そして、有り難うございました。また、佐渡でお会いしましょう。
では、さらばじゃ!”∖(( ̄◇ ̄°*))
~完~
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